十勝沖地震

H15年9月26日・・、朝とはいえまだ薄暗い時間帯、物凄い揺れに夢を破られた。
飛び起きる、何をしたらよいか咄嗟に思いつかない、居間の窓際に駆け寄る。窓辺の机上に置いてあるパソコンに手を掛けた記憶はあるが、強い揺れで僅かに開いた窓の間から、抑えたはずのパソコンが戸外に落ちたのさえ記憶にない。
一箇所を注意出来ないのである、家が・・天と地と一緒に揺れて、上下・左右の物体(TV・電話機・書棚の本・書類・等など)が一度に崩れ落ちるさまは滅茶苦茶としか言いようがない。
気が付いた時は全てが終わっていた、正確にはこれから始まる後始末の始まりでもあった。

  

幸いけが人こそ出なかったが、写真のごとくゴミ捨て場のようであった。
各部屋の箪笥・仏壇は言うに及ばず、立っている建具は全部倒れた。書棚類から出た書類は吃驚するほど山になるものである、使いやすいように分類しておいたものがゴチャゴチャになったら手も付けられないものである、火災が発生しなかったのがなによりだ。
阪神大震災に遭われた方々の苦労がしのばれる、と言ってもこれは10分の一程度に過ぎないのだろうけど。
この地域でも、地盤の良い処の家では瀬戸物が一個程度の被害しかないところもあったし、全く被害のない処もあって不公平な地震でもあった。
海岸には一・五メートル程の津波が来て港周辺は道路が浸水して避難にも差し支えるほどだったという。海岸に近い市街地の町民は高台や避難場所に避難されたが、山側の地域は揺れこそあったが、前述したように何の被害もなかった地区の避難指定場所は会館が閉まった儘、中に入れず車の中で震えていたという、大きな災害もまれな平和?な田舎でのなんとものどかなハプニングだった。

施設ハウスでは・・・・土耕ハウスは何ともなかったが、高設ベンチは大変な事が起こっていた。
4棟のうちの簡易型高設が栽培箱ごと見事に散乱していた、品種はこれから収穫に入る”夏娘”である。高さ80センチ余りのところから落ちたので、ある箱は完全にひっくりかえり・・ズリおちた箱ありで此処も滅茶苦茶、家の中のように片づけて済む訳でなかった。
何とか(泣く泣く)JAの職員の応援も得て台に上げたものの、栽培のステージにあげるには気のとおくなる作業が待っていた。
先ず生活基盤の整備から始めなければならない、玄関の戸がレールから斜めに外れて出入りが出来ない、トイレは何故か内側からロックが掛かりこれも出入り出来ない。
先ず此れから修理に入る、トイレの小さな窓から工具を持ってはいり(警察官でも見たら職質間違いなし)内側から分解してドアを開ける、万事こんな具合に整理を進めて行くよりしょうがない。とんでもない仕事を増やしてくれたものだ・・、ぼやきながらやれやれと一段落するまで4日はかかった。
さて問題の高設ハウスの整備である、収穫始まってからだから赤い実はもとより花が終わって肥大始めたばかりのものは地面に落ちた時のこすれか潰れ、土つきのため売り物にならない
約一ヶ月は収穫不能だった、ようやく売れるものが採れる頃はもう10月も半ば総売上金は23万程(100坪)だった。
  保険の事・・・無知さに我ながら呆れた、農協と共済とかの職員さんが分厚い台帳(威嚇用か)みたいなのを持ってあるとき咳払いをしながらやってきた。
家財保険の事である、「えへん、今日は家財家具保険の事で来ました」、良く聞くと1000万のにはどうですか?・・万が一(これが殺し文句らしい)、考えるに万が一の時の1000万円は大変助かる、掛け金は掛け捨てで年間10なん万円とか。
百姓は紺色のスーツとネクタイ、それにぴっかぴかの革靴を見せられ、おまけに農協職員であればもう頭から信用して、言うがままに印を押すものである、こちらは泥長靴に泥だらけの手、自分も負債のやりくりの時お世話になると思えば、年間10万何がしが万が一の事を思えばと、向こうも「このくらいの金額はお宅なら払えますよ」、に安心して任せたものである。
ところがこの地震、これこそ万が一だと思って農協にお伺いしたらとんでもない答えが返ってきた、「被害が一割以上の場合支払いの該当にはります」ただそれだけなのである。
では我が家は見ての通り目茶目茶、これは万が一ではないらしい、1000万円の一割は100万円、家具の被害が100万円以上でなければ一銭も出ないと言う、・・・なら始めから言って欲しいよ・・・地震で判った農協とそれを信頼した組合員との関係である、・・・あ〜あ。
TVではオレオレ詐欺の話題が頻繁に報道されている・・・気を付けねば、貧乏百姓のつぶやき。

農協の職員が出たついでにもうひとつ・・・・、良く聞くと我々職員は農産物の取り扱い手数料だけでは全然食って行けません(営農部)・・・と言うのである。
実際そうかもしれない・・・、ならもう一歩踏み込んで農産物の販売手数料で一人でも二人でもの職員を養えるだけの売り上げになるように、農家を指導・督励する気になれないものだろうか。
そうなれば生産資材・・生活物資の消費だって、さらに預貯金だって増えるだろう。組合員は生活資金が乏しいから、安売りをめがけて”生協”(生活共同組合店舗)に走るのである。生産資材もけちる・・その結果は農生産物の売り上げが落ちる、生活物資の買い求めは農協店舗を素通りして生協店え、という事になり売り上げの減った店舗は閉鎖(実際に2店舗閉鎖した)、・・の悪循環をたどるのである。
こんな事を書いていて情けなくなってきた。
営農部に限らず、金融部も組合長も、職員は農地に出て営農・技術指導・や要望を聞いて欲しい、そうすれば職員は足りないぐらいになるのでは、リストラの心配もしなくて良くなるのではと思ったり。
汚い処えは出たくないかな?、・・・まあ・・・それはそれでいいっか。
地震から営農指導部まで出してしまった、このページを終わる。

言いすぎかな、ご意見をお願いします、頭柔らかいからお詫び訂正もします、近いうちにまた訪ねてみて下さい。

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